東方シミュレーションゲーム「幻想郷史シリーズ」

東方シミュレーションゲーム「幻想郷史シリーズ」

橙と紫の神隠し〜Spirited away of OrangePurple
マヨヒガの逆襲


「それで、戦況はどうなの?」
「一進一退といった様相ですわね。四重結界ではレティ・ホワイトロックと虹川三姉妹の四名が善戦はしているようですが、やはり相手が悪いかと。」
「ふん、魂魄妖忌なんて一体どこから連れてきたんだか。」
その言葉と共にレミリアはぷい、と横を向く。
「それで、どうなの。あっちの方は。」
「あっち、とは?」
「そんなの決まっているじゃない、白玉楼攻略作戦よ。」
「はあ、ですから何度も言っているはずですが。現状では無謀な作戦だと。はっきり言って現状の兵力では逆襲にあうのが落ちです。失敗すれば逆にこの紅魔館が落とされかねません。」
「私が出陣しても、か?」
「はい。守りを捨ててお嬢様、私、パチェリー様、妹様・美鈴の五名を軸とする全力攻撃だとしても、おそらく白玉楼は陥落することはないでしょう。やはり場所が悪すぎます。冥界はあの者達の縄張りですので。」
「ちっ、忌々しいことね。」
ふう、と大きく息を吐き、レミリアは机に肘を着いた。その様子を咲夜はじっと眺めていたのだが、不意に何かを思い出したかのように口を開いた。
「それで、前々から申し上げていた蓬莱山家との同盟のことなのですが―――
その言葉が言い終わらないうちにドン、という大きな音がして机が歪む。
「その件については却下だと何度も言っているでしょう。何故この私が月人と同盟を組まなくてはいけない。」
そのレミリアの態度を全く介さずに咲夜は続ける。
「私といたしましては、今すぐにでも締結する事をおすすめ致します。未確認情報ですが、西行家寺家が神綺家と同盟を結ぼうとしているとの情報もありますので。」
「そんなの関係ないわ。私は吸血鬼の真祖。魔界の神や亡霊姫ごときに負けるわけが無いもの。咲夜もそう思うでしょう。」
その言葉に咲夜ははっきりとうなずいた。
「はい、勿論です。ですが、戦いはお嬢様一人でなさるものではありません。お嬢様一人の力では勝っていたとしても、我が軍が崩壊すれば、いずれ押し切られる事となるでしょう。それを理解してください。」
その言葉を聞いたレミリアは唇をかみ締めて何かに耐えるような表情をした後、しぶしぶながら頷いた。レミリア自身にも分かっていた。神綺もしくは西行寺幽々子と正面から戦ったとすればそこまで戦闘力に差はないと。一対一ならば順当に行けば負ける事は無い。けれど無傷で勝てるとは思えない。
「わかったわ、でも蓬莱山家とはだめ。博麗神社にしなさい、霊夢なら信用できるから。輝夜は信用できない。」
……わかりました。ですが、博麗神社は西行寺家とも神綺家とも領地を接しておりません。宜しいのでしょうか。」
「霊夢はそのうち夢幻家を落とすでしょ、そうすれば西行寺家に対する圧力になる。地力が違うのよ。二倍以上の生産力があるのに負けるわけないじゃない。」
その言葉に咲夜は大きな溜息をつく。
「それは無理です。博麗神社は蓬莱山家と接しております。おそらく大兵力を動かせる状況ではございません。博麗神社と蓬莱山家が手を組めば話は別ですが、そうなると私達が今度は危うくなるでしょう。ですから―――
「くどい、もう私は決めた。霊夢に親書を送っておきなさい。これで今日の話は終わりよ。」
そう言ってレミリアはテーブルを後にした。後には大きな溜息をつく咲夜だけが残されることとなった。
2005
年、81日の事である。



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